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研修情報

第八回薬物乱用対策研修会 > 研修会プログラム > 第17講義

反復違法行為に対応する裁判のロールプレイ

仮想状況と模擬裁判の設定

1.反復する同一違法行為に関する社会の仮想状況
1)ヒトの行動の中枢は第一信号系と第二信号系の2つであり、第一信号系の過作動で生じる逸脱行為は治療可能であることが一般的な知識となっている。

2)条件反射制御法や生活訓練を提供する施設が十分にあり、それらの施設の連絡先が種々の媒体で紹介され、治療や訓練を受けやすい。

3)取締処分側と援助側の専門職は、自領域の機能を発揮しながら、多領域の機能に期待し利用する方法を習得している。

2.仮想の法の基本
違法行為治療法と違法行為処罰法が制定され、公布され、施行されている。
 1)違法行為治療法は、違法行為を第一信号系の過作動が成立させる疾病に罹患した者について、次を規定している。
 ①本人はその疾病に対する治療や訓練を受けるなど、具体的な方策をとる義務を負う。この義務の違反には刑罰が与えられる。
 ②対応する者は職務の特徴に従い、対象者が必要な治療、訓練を円滑に受けられる可能性を高める義務を負う。この義務の違反には行政処分が与えられる。

 2)違法行為処罰法は、次に示す神経活動には刑罰と教育で対応することを規定している。
 ①検挙された違法行為をその時点で促進した第二信号系
 ②検挙された違法行為の進行に可能な抵抗を怠った第二信号系

3.各領域の態勢
 1)治療体系(医療・福祉・教育機関等)の職員は上の2つの法に従い、反復傾向のあるその違法行為に対して、次のように対応することを基本方針とする通達が政府から出された。
 ①反復傾向のある違法行為を犯した者への対応において、既遂の違法行為は自発的に通報せず、第一信号系を焦点とする治療を含む働きかけを優先する。
 ②第二信号系に対しては取締官等が参加する処遇を展開するよう努める。

 2)司法体系の職員は上の2つの法に従い、反復傾向のあるその違法行為に対して、次のように対応することが規定されている。
 ①検挙した違法行為の成立機序を評価し、それをはたらいた者による同一違法行為の再発を抑制するために、原因となった第一信号系の神経活動に対応する治療と訓練、並びに第二信号系に対応する刑罰と教育を言い渡す。
 ②処遇においては、治療と訓練、刑罰、教育の提供を強制し、実施を観察し、違反者には刑罰を与える。

4.仮想裁判の進め方
2つの中枢に1つの裁判体が対応する。
 1)検察官は精神医学の専門家に被告人の情報を与え、面接させるなどして、その意見を受けて、送検された事件の成立に関して各信号系の関与を把握し、第二信号系には起訴を、並びに第一信号系には治療や訓練の内容や期間を検討するべきである旨の申し立てをする(逮捕から判決確定までの図◎)。

 2)検察官が上記の申立をしないとき、弁護人は専門家に被告人の情報を与え、面接させるなどして、その意見を受けて、事件の成立に関して疾病に基づくと考える部分に対して、違法行為治療法に基づき治療や訓練の内容や期間を検討するべきである旨の申し立てができる(逮捕から判決確定までの図◎)。

 3)検察官あるいは弁護士の申立を受けて、多職種の合議は複数回、開催される。参加者は判事、検事、弁護人、保護観察官、判定医、弁護人が招聘した治療に関わる者などとする。

 4)違法行為成立にかかわった第二信号系には刑罰と教育を与える。
   前出の2.仮想状況の2)の①、②、③が対象になる。

 5)違法行為成立を第一信号系が促進しないように治療と訓練を強制する。
   次の機序で第一信号系が違法行為成立にかかわる。
  ①違法行為を促進する反射連鎖があれば、再発しやすい。
  ②社会生活を自立して規則的に過ごす能力や問題を解決する能力が乏しければ、軽微なストレスに反応し、第一信号系は生きる方向に作動し、過去に反復して作動した反射連鎖が作動しやすい。

5.裁判で言い渡された処遇の進め方
社会内での治療や訓練、観察が言い渡された者は、保護観察の対象とする。

矯正施設内でも適切な治療や訓練を提供する。




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