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薬物関連精神疾患専門医療

Ⅰ.診療

1.歴史

昭和30年代にあへん系薬物がわが国で流行し、これに対応するため全国に8つの専門病棟が開設されました。当院の専門病棟はその一つであり、昭和38年に当時の国立下総療養所に併設されました。当初は専門病棟は2病棟(計100床)ありましたが、あへん系薬物乱用者は全国的に急速に減少し、当院でも専門病棟は1病棟(36床)となりました。また、乱用される薬物も覚せい剤が主となるという変化がありました。現在の薬物関連精神疾患治療専門病棟は、平成11年に新築した40床のものです。

2.対応の特徴

現在、薬物乱用が原因で受診する患者さんの多くは、覚せい剤などの規制薬物を使用しています。規制薬物を使ってきた患者さんは、依存という疾病性と薬物規制法違反(自己使用)という犯罪性を持っています。また、薬物は精神病を起こすこともあります。家庭内あるいは恋人・友人との人間関係もうまく行かないことが少なくありません。仕事もなかなか続きません。
患者さんが持つこれらの要素に対して次のように対応しています。

1)薬物規制法違反(自己使用)への対応

当院は規制薬物乱用を根拠に取締機関に患者さんを通報することは絶対にしません。一方で、患者さんあるいはご家族に、規制薬物が身体から代謝され検挙される証拠がなくなる期間(約2週間)を経た後に、麻薬取締官と面接し指導を受けるように勧めます。同意が得られれば、当院内等で麻薬取締官に会ってもらいます。こうすることで、患者さんは検挙を避けるために、薬物を乱用しないでおこうと真剣に努力を始めます。

2)依存への対応

薬物を反復して使用してしまう理由は、
①心理的に苦しい状況から逃れるため
②身体内で薬物が代謝され消えてゆくと不快な思いをするので、それを避けるため
③過去に反復摂取した薬物に関連する物を見たり聞いたり考えたりすると、条件反射に
より自律神経や気分に変化が起こるので、これを避けるため
という3つのものがあると考えています。
上の①に対しては、過去の自分の行動や考えを振り返り、いろいろなことに気づくための作業をし、薬物から離れやすい生活を心がけてもらいます。
上の②に対しては、乱用した薬物と同様の作用をもつ薬物を投与し、この量を徐々に減らしてゆきます。

 上の③に対しては、入院治療で次の治療を行います。薬物を摂取する真似をして、条件反射をわざと起こし、しかし薬物を摂取しないことと、不使用を象徴する動作(例えば親指を握り込むなどの直ちにできる簡単なもの)を行うことを反復します。この作業をするたびに渇望は高まりますが、我慢して反復することにより、条件反射の回路の消去、並びに、負の刺激(条件反射を抑える刺激)の設定が行われます。退院後に薬物に関連する事象に接触しても条件反射が起きないことが期待できます。また、不使用を象徴する動作をすることは、仮に条件反射が起こりそうになっていても、これを抑制しようとします。つまり、入院中の前記の作業は、退院後にも身体や気分が薬物を欲しがらないように作用するのです。

3)薬物中毒性精神病への対応

幻覚・妄想・興奮等の精神病症状には投薬を中心にして対応します。
精神病症状のために社会内で生活することができない場合には、本人の意思に反してでも入院治療を適用することがあります。

4)人間関係や就労の問題への対応

人間関係や就労の問題は、入院で治しきることはできません。患者さんのこれまでの生活に応じて、社会復帰施設への入寮を勧めます。社会復帰施設では、薬物に関係して人生がうまく行かなくなった方達が、回復を目指し、支え合っています。

3.受診する方法

 当院の薬物関連精神疾患部門に受診を考えている方は、必ず専用フォームにご記入の上送信してください。
内容を確認し、電話にてご連絡させていただきます。順番に連絡を差し上げますので、こちらから連絡があるまでお待ちください。

 予約をせずに来院された場合は、限られた職員で対応しておりますので、長い時間待って頂くことになりかねません。また、患者さんが望まれている対応は他の施設で受けることがよい場合もあります。
すでに専門職の方が関わっている場合は、その専門職から当院に連絡を頂き、受診が適切かどうかを判断してもらってください。
また、専門職の方は、患者さんを当院に紹介される場合は、前もってご連絡を下さるようお願い致します。


Ⅱ.研究

 「各セクション」→「臨床研究部」の順で開き、「薬物依存関係」の項をご覧下さい。

Ⅲ.研修

 精神保健・医療福祉、教育の領域等だけでなく、薬務行政、刑事司法の領域の専門職等、また、学生の実習先としても、種々のプログラムを組んで、研修を提供しています。研修を受ける方の就労あるいは学業の都合に合わせて、柔軟に対応できます。

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